子どもを持たない人生を選んでから、甥や姪がどんなふうに成長していくのかを観察するのが、ちょっとした楽しみになりました。言ってみれば、子育ての疑似体験のようなものだと自分では思っています。
兄が精神科にかかり、入院していることが多いので、甥はほとんで父親と一緒に暮らしていない状態です。私は甥にとって父親代わりのような存在でありたい思っています。最近はもっぱらATMのような扱いを受けている気もしますが……。
その甥が、この春から中学生になりました。
私自身は、田舎の小さな小学校が数校集まってできた中学校に進学したので、そこで人間関係につまずいた経験があります。物心ついたときからずっと一緒だったメンバーがそのまま友達だったので、新しく友達を作る方法をまったく知らなかった。中学に入ってから、初めてそのことに気づいたのです。
甥も同じような環境にいるのですが、根っから社交的で、初対面の人が大好きなタイプ。入学式の日にたくさんの同級生ができたことを喜んで、「友達100人作りたい!」と帰ってきました。
田舎なので、近所の人とは挨拶を交わす環境です。甥は誰にでも大きな声で挨拶したり、気軽に話しかけたりするので、近くで見ている私はいつもヒヤヒヤしています。
実際、昨年は近所の商店で、見知らぬ男子中学生に向かって「ジャンボ!」と声をかけたことがありました(本人によると、アフリカの言葉で挨拶をしたつもりだったそうです)。その子はぽっちゃりした体型を気にしていたようで、ちょっとしたトラブルになってしまいました。社交的なのはいいのですが、深く考えずに行動してしまうところがあるようです。見ていてヒヤヒヤする一方で、ちょっと面白い。その一件は、本人にとっては、いい勉強になったようですが。
最近は色気づいてきたようで、「女の子にモテたい」と言い出しました。
自分が成長していく過程で、「異性にモテたい」と思ったことがあっただろうかと考えてみました。好きな子に好きになってほしいと思うことはあっても、「モテたい」という感覚はなかった気がします。これが、男性脳と女性脳の違いなのかもしれません。男性はできるだけ多くの子孫を残そうとし、女性はひとりの相手から受け取った命を大切に育てていく——そういう遺伝子的な違いがあるのだと、いつか読んだ本に書いてあったことを思い出しました。あれは本当だったのかもしれない、と妙に納得した瞬間でした。
これから甥は、いろんな失敗を重ねながら、どんな大人になっていくのか。これからも、その成長を楽しみに見守っていきたいと思います。

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